岡崎(2001)母語話者教師と非母語話者教師のBELIEFS比較―日本と中国の日本語教師の場合―

①どんな問題を扱っているか?
日本国内の日本語を母語とする日本語教師(以下、NJT)、中国で日本語を教える中国人日本語教師(以下、CT)、中国で日本語を学んでいる中国人大学生(以下、CS)に日本語教育を含む外国語教育一般に関して意識調査を実施し、それを比較した。
②どんな方法でアプローチしたのか?
NJT135人、CT116人、CS594人に65項目(日本語版68項目)の質問紙調査を実施し、5段階で回答を得た。それをカイ二乗検定を用いて分析した。
③どんな結果が出たのか?
まず日本語を教えるもの、学ぶものという立場の違いではなく、母語話者と非母語話者という立場の違いの方が回答の傾向が異なっていた。
日本語学習、および外国語学習の困難さに対する認識、中国人学習者に対する期待度、各言語技能に関する難易判定、外国語の有用性では、CT,CSとも日本語は難しい言語だと考える人の数が多かった一方で勉強をすれば日本語が習得できると考えている人が多かったのに対しNJTは勉強すれば外国語が上手になると考える人はそれほど多くなかった。
また中国人学習者に対する期待度がNJTではそれほど高くないのに対して、CTは中国人は外国語を学ぶのが得意だと考えていた。また言語技能の難易度に対する認識もNJTとCT,CSでは異なっていた。最も異なっていたのが外国語学習に対する姿勢であある。CTは話す機会がないのならその外国語を学習しても仕方がないと考えているのに対し、NJTは話す機会がなくても外国語を学ぶ価値はあると考えている人が最も多かった。
習得するまでにかかる時間についても認識が異なっていた。NJTは約1日1時間の学習でも5年以内で習得できると考えている人が8割以上いたのに対し、CTは1日1時間程度の学習では上手に話せるようにならないと考えている人が最も多かった。
④結果の意味・インパクトは何か?
ネイティブ日本語教師とノンネイティブ日本語教師とでは、ノンネイティブ日本語教師とでは外国語学習に関するビリーフが異なる部分がある。それは日本で母語である日本語を教える者と日本でない場所で外国語である日本語を教える者の意識の違いであることが考えられると述べている。