2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

Goffmanのアプローチ

*行為者は異なった社会的状況でその場に応じて振る舞う。 ◆Goffmanのアイデンティティー概念 ①自我アイデンティティ(ego identity): 社会的状況の連続性の中で習得された内省的アイデンティティー②バーチャルな社会的アイデンティティー: 他者に対しての…

Bakhtinのアプローチ

◆Bakhtinによる「ことば」の定義 「ことば」はいつも半分話者自身の所有物であり、半分は他者の「声(voice)」が盛り込まれ、凝縮された産物(Bakhtin, 1984) ・「ことば」は非中立的な媒体であり、それを使ってわれわれは話者として自分の「声」を作り上げて…

D. Zimmermanのアプローチ

◆D. Zimmerman(1998)の3層構造のアイデンティティー範疇 ・談話的アイデンティティー(discouse identities) ・状況的アイデンティティー(situational identities) ・運搬可能なアイデンティティー(portable identities)◆談話的アイデンティティー ・対話内の…

アイデンティティー構築に関する研究の流れ

◆アイデンティティー研究以前 情意的要因(動機づけ・性格・自信)と学習者の習得の関係は因果関係が固定されたものであると捉えられてきた。◆Norton Peirce(1995) カナダへの移民者とのインタビューから ・第二言語学習者の習得過程は単なる固執した練習に…

はじめに

◆目的 ①社会構築論の余波を受けたアイデンティティー構築の見解を言語教育・学習の場へ応用すること。 ②言語学習の場として存在する教室内の対話を、参与者全員の相互行為場面として再認識すること。◆教室という空間における「教師」と「学習者」 ・ある人間…

コーチとしての教師の役割とその行動

◆語彙の確認に応じる →学習者Aの「教育」という語彙の確認求めに応じてTが「はい」と応じ、それを受けてAが「教育」を使用して発話を進めていく。 *Aの確認行動→Tの確認応答は従来の教室談話のIRE連鎖とは異なる。 *従来のIRE連鎖では、Iは教師による始動…

モデレーターとしての教師の役割とその行動

◆議論の方向性を示す →学習者Bによる確認の発話がなされた際、学習者AはTを見て自らの発話を放棄するとともにTに対して発話を促している。=学習者Bの発話に対して答える義務があるのがTであると示している。 →Tも学習者Aの視線を受け、学習者Bに対して応答…

会話参与者のアイデンティティ

◆Sacks(1972) ・会話参与者は、それぞれのアイデンティティを示すうえで、会話の中で何らかのカテゴリーに属している。 ↓ 成員カテゴリー化装置: 会話参与者は自分が属するカテゴリーをいくつも持っており、会話の中ではそのうち1つのカテゴリーが当てはめ…

「教室」談話研究の流れ

◆Mehan(1979) 教室談話の構造:IRE構造 I(教師による指導発話) R(学習者による返答) E(教師による評価) *IとEの部分は教師によって管理されている◆文野(2003)→教室談話はI-R-Eでは説明しきれない複雑な構造を持っている。 ↓ I-R-E連鎖の複雑性は教室および…

Ochsのアプローチ

◆Language socialization (Ochs, 1993;1996) 言葉という媒体を通じて対象文化を熟知していない初心者(novice)を順応化させる社会的行動。 対話の相手が当人のアイデンティティー構築の鍵となる。→共同構築(co-construction)◆アクト(行為)とスタンス(態度…

メタ認知知識外言化のメリット

p.90 メタ認知知識を外言化する教室活動は、学習者がモニタリングの基準を意識化、精緻化するきっかけとなるだけでなく、教師が学習者の基準を把握し、矛盾やあいまいさがある場合にはその対応を図れるメリットがある。

文章産出過程にかかわるモニタリングの基準の外言化の効果

p.87 文章産出過程にかかわるモニタリングの基準を外言化するという作業は、そのメタ認知知識を活性化、意識化、精緻化するだけではなく、その知識に基づいたメタ認知制御も可能にする可能性を含んでいる。

文章産出過程で書き手が進行モニタリングを行うには

pp.82-83 ◆文章産出過程で書き手が読み手との対話を意識し、適切に進行モニタリングを行うには… ①具体的な読み手を想定し、文字言語を通した対話が行われる必要がある。 ②課題遂行のために行われる文章産出過程をモニタリングし、評価する際の「基準」が整理…

書く行為の本質

p. 82 ◆書く行為の本質 ・課題(=目的?)成就のために書き手がモニタリングと評価を繰り返し、試行錯誤しながら読み手との共通の文脈を紡ぎだすこと。 ・その試行錯誤の過程で知識の意識化、明確化、精緻化をもたらす。*この本質を教室デザインに持ち込む…

「書く」という課題遂行能力を身につけるためには…

◆「書く」という課題遂行能力を身につけるためには… ①「伝えたいコトを読み手と共有する」という課題を達成するために「コンテクスト、条件、制約のもとに、ある領域・テーマと関連するテクスト」を書く機会を学習者に提供することが必要。 ②進行中の文章産…

文章産出は何を創造しているか

◆外言化(Vygotsky, 1934):書き手が何を書くかのプランを立案し、それを言語表現に変えていくこと。抽象的なプラン ↓ 文章構成・読み手・内容に関わる情報を意識できるレベルまで抽出 ↓ 意識化された情報を分類・順序付け ↓ 内容、文章構成、表現などに関わ…

モニタリングの基準は文章産出過程でどのように作用しているか

①基準が意識化されていない場合には、モニタリングを行ったとしても「何か変だな」という気づきが生じないであろう。②基準が明確に確立していない場合には、気づきがあったとしても適切な評価が行えなかったり判断が保留されたりする可能性がある。③基準が複…

文章産出過程モデル

◆文章産出過程=外界とやり取り(=インターアクション?)しながら書きあげていく活動 *書き手は外界に内包されている。◆外界:課題状況/外在的知識・リソース ・課題状況→外界の文章産出に関係する文脈。 a.社会的環境 -読み手 -評価者 -共同執筆者 b.物…

メタ認知

◆メタ認知 ・メタ認知知識:人の認知活動に関する知識「文章に関わる知識」「文章産出に関わる知識」 ・メタ認知制御:認知活動を統制する過程「計画立案」「モニタリング」「評価」*メタ認知とは、メタ認知知識とメタ認知制御が交互に関連し合いながら認知…

「どのように」書くのか

◆文章産出過程 ・認知過程が課題状況から課題を認識 ↓ ・「課題分析」:話題、読み手、文字数の制限などの情報を課題状況から抽出し、それらの要因に関わる情報を長期記憶から検索する。(課題状況から十分な要因が抽出できない場合は書き手が想定) ↓ ・抽…

何を何のために書くのか

pp.70-71◆私たちが「書く」目的: 書き手が文字言語を用いて伝えたいコトを文脈の共有度が低い読み手と共有するため。◆伝えたい「コト」には情報だけでなく、感情や心象風景なども含まれている。◆文脈の共有度 読み手が書いたものを読むことによって、書き手…

学習日誌のデータによるフィードバック

●フィードバックの目的 ① 学習者の学習方法の改善=適切でないストラテジーを適切なものと置き換える ② 教師の教育方法の改善=授業活動の変化 ・特に教師の改善は学習者の目に見える形で行われなければならない。●フィードバックの方法 ① 教師のコメント 定…

内省的方法の種類 【口頭内省法(think-aloud)】

●口頭内省法の長所 ・学習の進行と同時に情報が取れる=同時的な内省●口頭内省法の短所 ・プロトコルの作成・分析に大変な時間がかかる。さらにそれをもとにフォローアップインタビューを行う場合には、その時間は膨大なものになる。→フィードバックまでの時…

学習日誌・クラスジャーナルの長所

●学習日誌・クラスジャーナルは自己評価能力を高める内省的方法である。 ・学習が起こってから忘れない程度の時間をおいて記録される。 →反省的な見方となり、それ自体が評価的な見方となる。 =学習を意識化することとなり、学習者の自己評価を高める。●学…

内省的方法の種類 【クラスジャーナル】

グループジャーナルとは…●学習者間の意見の調整 学習者間の意見の調整をグループ内で学習者同士で行うこと●教師も参加するか? 教師も参加する、あるいはディスカッションをテープに録音したものを渡してもらわないと、クラスディスカッションの内容が把握で…

内省的方法の種類

●内省的方法による評価が成立するためには、学習者と教師との間にしっかりした信頼関係が築かれていなければならない。●学習日誌 学習者が毎日の自分の学習について日記をつけていく 教師に定期的に提出し、チェックを受ける。 理想的には学習者が自分で書い…

学習の内省記録【内省的方法】

●長所 ・フィードバックに時間がかからず、容易。 ・学習者自身に評価活動の意味づけがしやすく、直接関与しやすい。●短所 ・学習者自身による報告であるために、虚偽の申告がありうる。 →虚偽の申告を防ぐには… 「学習活動・教育活動の改善」という目的を学…

学習の内省記録【測定的方法】

●長所 ・実施が容易→テストという形で実施できる。 ・分析の方法が確立されており、客観性が保障される。●短所 ・学習方法の改善に結びつけにくい。 →学習結果を測定、分析するものであり、学習活動そのものが行われた時点から時間的に経過している。

学習の内政記録【調査・観察方法】

●長所 ・学習を即自的に記録する。 ・豊富なデータが収集できる。●短所 ・分析に時間がかかる。→フィードバックに時間がかかる

学習の内省記録【実験的方法】

●長所 方法の厳密性・客観性が高い●短所 ・実施準備に時間がかかり、データの整理・分析が容易ではない →フィードバックに時間がかかる。 ・学習者自身に評価活動としての意味が見えにくい ・学習者を実験のためのモルモットにしてしまうおそれがある●実験的…