呉(2001)「韓国における日本語教師のビリーフの特徴」―日本人教師と韓国人教師のビリーフの比較を通して―

①どのような問題を扱っているか?
韓国の大学で教えているNTと韓国人日本語教師(KT)の特徴を把握する
②どんな方法でアプローチしたのか?
調査対象者はNT25名、KT27名である。BALLIをもとにした質問紙調査を実施した。質問項目には、①言語能力の適正、②言語学習の難易度、③言語学習の性質、④学習とコミュニケーションストラテジー、⑤言語学習の動機、⑥教室活動に関する見解から59項目があった。そして、集計したものを領域ごとにt検定を行った。
③どんな結果が出たのか?
59項目のうち、9項目で有意差が見られた。⑤言語学習の動機および⑥教室活動に関する見解に該当する項目では、有意差があった項目は見られなかった。
有意差があった9項目は以下の項目である。
「数学や自然科学が得意な人は外国語学習には不得意である」:JTの意見がKTに比べて反対に近かった
「世界的に権威を持っている外国語とそうでない外国語がある」
「日本語は学習しやすい言語である」
「言語の中には学習しやすい言語とそうではない言語がある」
「教師なしに外国語を学習するのは不可能である」
「文法は韓国語で学習したほうがいい」
「日本語会話をする途中、分からない語彙の意味は推測して言ってもいい」
「大量の反復練習は大事である」
「教科書を使わずに口頭だけの授業は私には合わない」:KTはJTに比べ授業中の教科書への依存度が高い

④結果の意味・インパクトは何か?
岡崎(2001)との比較により、日本語を外国語として教えている教師間のビリーフより第二言語として日本語を教えている教師と外国語として日本語を教えている教師間のビリーフの方が違いが大きい。
日本人と韓国人の方が日本人と中国人より言語学習のビリーフが類似している。